1話



「ナルト! じっとしときなさいよ!!」



ナルトを注意するサクラの声が聞こえる。



「なんでオレ達7班の先生だけこんな遅せーんだってばよォ!! ほかの班はみんな新しい先生とどっか行っちまったし。イルカ先生も帰っちまうし!」



あれから数時間7班の担当上忍だけはまだ来ていなかった。

私はというと、皆と話すのが面倒なので半寝ていた。



「ちょっと!! 何やってんのナルト!!」



サクラの声を無視し、ナルトはブービートラップを作り始めた。そんなナルトに隠話で話し掛ける。



「遅刻してくる奴がわりーんだってばよ!!」

「<……ねぇ、担当上忍ってもしかして……>」

「ニシシシ<ああ、多分な。ってかお前、寝てたんじゃねぇの?>」

「ったくもー! 私! 知らないからね!!(こうゆうのけっこー好きなのよー!!)」

「<半分寝てないよ?>」

「<半分ってなんだよ>」

「<さぁ?>」

「<おい……>」

「フン、上忍がそんなベタなブービートラップにひっかかるかよ」



二人がそんな会話をしていると、サスケが冷やかに言う。



「<いや、多分引っ掛かってくれるよ。……あっ来た>」

「<アイツだからな>」



ガラ!!



扉が開く音がする。それと同時に黒板消しが落ちる音がした。



「!」

「きゃははは!! 引っ掛かった!! 引っ掛かった!!<カカシ来んのがおせーよ>」

「<あはは。ごめーんね?>」

「<まぁ、カカシだし。逆に遅れないで来たら恐くない?>」



私も二人の会話に加わる。



「<確かに>」

「<……あのね>」

「……先生ごめんなさい。私は止めたんですが、ナルト君が……(OK!!OK!!よみ通りのベタなオチー!!)」

「(……これが本当に上忍か? 頼りなさそうな奴だな……)」



私達が話している最中、サクラとサスケがそれぞれ喜んでたり、不安になったりしていた。



「……んー……なんて言うのかな。お前らの第一印象はぁ……嫌いだ!!」



カカシの一言に空気が重くなった気がした。



『……』



ひどい、カカシ……。



カカシに嫌いと言われ、私は少し泣きたくなった。



* * *



「そうだな……まずは自己紹介をしてもらおう」



私達は教室をあとにして、外に出た。



「……どんなことを言えばいいの?」

「……そりゃあ好きなもの、嫌いなもの……将来の夢とか趣味とか……ま! そんなのだ」

「あのさ! あのさ! それより先に先生、自分のこと紹介してくれよ!」

「そうね……、見た目ちょっと怪しいし」



ナルトの言葉にサクラの同意をする。



「あ……オレか? オレは【はたけ・カカシ】って名前だ。

好き嫌いをお前らに教える気はない! 将来の夢……って言われてもなぁ…。ま! 趣味は色々だ……」

「ねぇ……結局分かったの……名前だけじゃない?」

『……』

「じゃ、次はお前らだ。右から順に……」



最初はナルトだった。



「オレさ! オレさ! 名前はうずまきナルト! 好きなものはカップラーメン。

もっと好きなものは、イルカ先生におごってもらった一楽のラーメン!! 嫌いなものはお湯を入れてからの3分間。将来の夢はァ」

「(ナルト、ラーメンのことばっかだな……)」

「……火影を越す!! ンでもって、里の奴ら全員にオレの存在を認めさせてやるんだ!!」

「<ナルトかっこいー>」

「<が言うと、からかってるようにしか聞こえねぇんだけど>趣味は……イタズラかな」

「<……おい>」

「次!」



次は、サスケの番。



「名は、うちはサスケ。嫌いなものならたくさんあるが、好きなものは別にない。

それから……夢なんて言葉で終わらす気はないが野望ならある! 一族の復興と、ある男を必ず……殺すことだ」



サスケの言った言葉に皆がシーンとなる。



「(かっこいい……)」

「(……やはりな……)」

「<……それってイタチの事だよね?>」

「<……だろうな>」


「<叶えてもいいけど、こっちに被害が来ないといいなぁ>」



私は心の底からそう思う。



「<そうなってくれるとオレも嬉しいけど、無理じゃねぇ?>」

「<……ですよね>」



私の密かな夢は呆気なく消えた。



「よし……次」



次はサクラの番。



「私は春野サクラ。好きなものはぁ……てゆーかぁ、好きな人は……」



そう言うと、サクラはチラッと横にいるサスケを見る。



「えーとぉ、将来の夢も言っちゃおうかなぁ……キャー!!」

「…………」

「嫌いなものはナルトです!!」



その一言にナルトがショックを受ける。それを見てた私は……。



「<ナルトの浮気者!!>」

「<はぁ!?>」



ナルトを無視し、私は泣くフリをする。



「<……つーか、嘘泣きは止めろ>」

「<バレた?>」

「<……はぁ>」

「趣味はぁ……」



チラチラとまたサスケを見るサクラ。



「(この年頃の女の子は……忍術より恋愛だな)よし……最後にそこの女の子」



そして私の番になった。



「ん? 。好きな事は寝ることで、嫌いな事は睡眠妨害! あっ邪魔した奴ぶっ殺すから」

『(……こわっ)』



皆の顔が引きつる。



「……将来の夢は、ナルトのお嫁さん♪」

「(!?)」


「……っていうのは冗談で、ずっと寝れること。趣味は人を弄って遊ぶこと……特にナルトを?」

「<……お前さぁ、その趣味止める気ねぇ?>」

「<あはっ。ないかな>」

「<……はぁ>」



溜息ばっか吐いてると、幸せ逃すよ?



「(……は相変わらず、寝ることばっかだな)よし! 自己紹介はそこまでだ。明日から任務やるぞ」



その言葉にナルトがサッと立つ。



「はっどんな任務でありますか!?」

「まずは、この五人だけであることをやる」

「なに? なに?」

「サバイバル演習だ」

「サバイバル演習?」



サバイバル演習と聞き、私の顔が歪む。

その内容を知っているからこそ、私は項垂れた。



……ホント嫌。マジで嫌。



「………」

「なんで任務で演習やんのよ? 演習なら忍者学校で散々やったわよ!」

「相手はオレだが、ただの演習じゃない」

『?』

「じゃあさ! じゃあさ! どんな演習なの?」

「……ククク……」



突然笑い出したカカシに皆戸惑う。



「ちょっと何がおかしいのよ、先生!?」

「いや……ま! ただな……オレがこれを言ったらお前ら絶対引くから」

「なんで引くの?<ねぇ。私よりカカシの方が歪んでない?>」

「引くゥ……? は?<安心しろ。お前の方が歪んでるから>」

「<えっ>」

「卒業生27名中下忍として認められる者は、わずか9名。残り18名は再び学校へ戻される。この演習は脱落率66%以上の超難関試験だ!」



皆の顔が引きつる。



「ハハハ、ほら引いた」

『………』



そして皆が騒ぎ出す。……まぁ、主に二人だけど。



「ンなバカな!! あれだけ苦労して……じゃ! なんのための卒業試験なんだってばよ!」

「あ! あれか……下忍になる可能性のある者を選抜するだけ」

「な〜なァ〜にィ〜……」

「とにかく明日は、演習場でお前らの合否を判断する。忍び道具一式持って来い。

それと、朝飯はぬいて来い……吐くぞ! くわしいことはプリントに書いといたから明日は遅れてこないように!」

『<カカシ! それはお前だ!!>』



私とナルトがハモる。



「<……あはは>」

「吐くって!? そんなにキツイの!?(……けど、この試験落ちたらサスケ君と離ればなれになっちゃう……これは、愛の試験だわ!!)」

「…………」



サスケはキッ! っとプリントを睨み、グシャリと握りつぶした。



「ムム〜漢字ばっかだ。コレ」

「(明日は寝るぞ♪)」



それぞれの、思いが重なりながらその日は解散した。



* * *



夜。今日はじーちゃんに頼んで(脅して)二人は暗部の任務は休みにして貰う。



「ご飯出来たよ」

「はいよ」

『いただきまーす』



食べている最中、二人は明日のことで盛り上がる。



「明日、面倒だなぁ」

「ホントにな」

「あれ協力しなくちゃダメなんだよね。そういうの一番嫌いなんだけど」

「一番向かないことなんじゃねぇの? まぁ適当に良いんじゃん?」

「そうだよね」



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