3話



「じいちゃん、ただいまー」

「おお! 二人共、ご苦労じゃったな」

「意外と簡単だった!!」



……怪我したけど。



「どこがだよ。お前、怪我したじゃん」

「そうなのか!?」

「江孤、バラすな!!」

「任務報告だから、諦めろ」



そう言って、けらけら笑う江孤。



、大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ。江孤が手当てしてくれたし」

「ならいいが。……そういえば、。新術は使ったのか?」

「ん? ああ。使ったよ」

「威力はどうだったんじゃ?」

「千切れてバラバラ?」

「…………」

「もうちょっと改良しないとなぁ。無差別だから使いづらいかも」



私の言葉にじーちゃんの顔が引きつった気がする。



「……二人とも、今日はもう帰っていいぞ」

「わかった」

「わーい♪ じゃあね、江孤! じーちゃん!」

「またな」

「ゆっくり休みなさい」



* * *



翌朝。

ふと、時計を見てみると、12時過ぎだった。



「……行こ……」



そう呟いて、私はアカデミーに向かった。



……ガラ……



教室の扉を開けると、目の前に青筋を立てて、怒っているであろうイルカ先生。



「…………」

「…………」



両者無言で見つめ合っていると、次の瞬間、イルカ先生の怒鳴り声が教室中に響いた。



「コラァ!! !! お前は何回遅刻したら気が済むんだ!!」

「ごめんなさい?」



……ずっと?



本音は別だが、それを言ったら余計に怒られそうなので、素直に謝る。



「それで、今日はなんで遅刻したんだ?」



その言葉に反応し、今までそっぽを向いていた、クラスの人達の視線が私の方に向く。

普段は【面白、可笑しくをモットーに!】を掲げ、言い訳していた。

それが意外と好評で、皆、その言い訳を楽しみにしているのに私は気付いていた。気付いていたけど……。

今日はそんな余裕もないし、気力も残っていなかった。……なので。



「……眠くて」



その一言で片付けうことにした。



『(……うわぁ。普通)』



皆の心の声が聞こえた気がした。



いつも私が面白いこと言うと思うなよ?



「……もう席についていいぞ。次からは気をつけるように!」

「……はーい」



一応、返事はしたものの、イルカ先生の声は私の頭までは届かず、耳から通り過ぎていった。

自分の席に向かい、席についた途端、ナルトに声をかけられた。



! おはようってばよ!<お前、来るの遅すぎだから>」

「……ナルト、おはよう?<……朝から元気ですね。感動するよ>」

「眠そうだな?<もう昼過ぎてるっつの……>」

「ホント眠い。……ってことで、おやすみなさい<細かいこと気にすんな? 禿るよ? んじゃ、おやすみなさい>」

、寝るの早すぎだってばよ……<禿るかっ!! ……オレも寝よ……>」



眠り世界に落ちていった二人。

二人はなんの為にアカデミーに通っているのか疑問だが、それが二人の日常。



先に目を覚ましたナルトが、周りを見てみると誰もいなく、全ての授業が終わっているのに気付く。



「……マジかよ」



そして隣を見ると、寝始めたときと体勢が変わっていないがいた。



「器用な奴。……はぁ。起こすか。……! 起きろ!」



しかし、何回呼びかけても起きない。



「おい! 起きろよ! !!」



そして揺すってみると、やっと彼女が反応する。



「……ん……? ……ナルト? ……はよ……?」



寝起きだからか、少しボーっとしている。



「やっと起きたか。お前、全然起きねぇし」

「……あれぇ……? なんで素?」

「周り見てみろよ」



ナルトに言われたとおり、周りを見てみると、教室には誰もいなかった。



「あーー誰もいない」

「まぁいいや。帰るか」

「そうだね」



そして、二人は誰もいない教室をあとにした。



* * *



夜。



「じっちゃん。用件ってなんだ?」

「……ナルト。たまにドアから入って来い」



窓から入って来たナルトを、火影が注意する。

だが、すぐに本題に入ることにした。



「……まあ、いい。用件というのは……」



バン!!



扉が開く音と同時に、聞き覚えのある声が聞こえてくる。



「じいちゃん! ヒマだから来たよ♪」



それは、久しぶりに任務が休みでヒマだっただった。



「……あれ? ナルト」

「よう、

「なんじゃ、か」

「話し中? なら出てくよ」

「いや、いいぞ。……それで、用件というのは、卒業試験のことなんじゃが……」



【卒業試験】その単語が出た瞬間、ナルトの雰囲気が変わる。僅かだが、殺気も出ている。



「……おい、じじい。また落ちろって言うんじゃねぇだろうな? オレは三回も落ちたくねぇぞ」



そう言うと、ナルトが火影にクナイを突きつける。



「な、ナルト。落ち着け!」



あらら。じーちゃん大丈夫かな?



「ナルト、卒業試験二回も落ちてるの?」

「オレだって、好きで落ちてるわけじゃねぇ!!」



……好きで落ちてたら物好きでしょ。



「まぁ、落ち着いて? じーちゃん、最後まで言ってないし」

「うむ。今回も落ちろとは言っておらん」

「………はあ? んじゃ、なんだよ」

「ミズキという中忍がおるじゃろう? そやつがこの所、不審な動きをしておっての。

どうやら、おぬしを利用しようと考えてるらしいのじゃ。……それで一端、落ちた振りをして見張ってて欲しいのじゃ」

「……うわぁ。アイツじゃねぇけど、めんどくせぇ……」

「いいじゃん。受かれるんだし?」

「……まあな」



ガチャ



また、扉が開く音がする。



「任務終わったぞ」



噂をするとなんとやら。

そこにいたのは、任務を終わらせたばかりの蒼鹿だった。



「あっ。シカマルお疲れ」

「……なんで、が此処にいて、オレがシカマルだって分かるんだよ?」

「は? ……あっ!!」



ふと、視線を感じ、その視線の方を見みると、ナルトが呆れた顔をして、こちらを見ている。

そして一言……。



「バーカ」

「!! ……悔しい!! シカマルには一回も出来なかったーーっ!!」



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