2話
2話
夜。私はまたじーちゃんに呼ばれた。
また任務か……。と、思いながら。
* * *
「はぁい、じいちゃん。今度は何ランク?」
「おお、か。今回はSランクの任務じゃよ」
「ふぅん。どこまで行くの?」
「雨隠れの里の、ある人物を暗殺するように……との依頼じゃ」
「へー」
「それで今回の任務は、江狐と遂行してもらいたい」
「……じいちゃん。それ、ホントにSランク?」
「一応、そうらしいんじゃが、……十分に気をつけてくれ」
「あっ! 新術、披露出来るかも♪」
「(……なんか心配だのう)」
「……おい。頼むから街ごと破壊すんなよ」
突然、声がしたと思ったら、目の前に江狐がいた。
「あれ? 江狐いたの?」
「初めから居たわ!!」
「……あはは。ごめん、ごめん」
いたっけ? 影薄いんだね、江孤。
「……まぁ、大丈夫だよ! いくら、私でも街は壊せないから……多分?」
「(多分!?)」
「嘘吐くな! 前、街を壊滅状態にしたじゃねぇか」
「そうだっけ?」
『(やばい! 里が壊れる!!)』
二人は同じことを思う。
心配になった火影は江狐に陰話で話しかけた。
「〈江狐! を見張るんじゃ!〉」
「〈……了解〉ってか、どんな術なんだ?」
「ん? あー秘密♪ 見てからのお楽しみ」
ピシッ
二人が固まる音がしたが、私は気にせず江孤にそれを無視して話しかけた。
「ねぇ。行かないの?」
「……行くか」
二人が言ったあと、火影が里の存続を祈っていたのを、二人は知らない。
* * *
数時間後。
私達は無事に任務を終わらせ、木の葉帰ろうとしていた。
出口に向かって歩いていると、草むらから、敵の忍達がゾロゾロと現れ、二人に前に立ち塞がる。
「……わーお、邪魔。これは、これは皆さん。どうしたんですか?」
「お前、本音が洩れてんぞ? ……それに、よく笑ってられんな」
「江狐だって。……あはっ。たまには玩具達と遊んであげなくちゃね?」
「いい趣味してんな。……殺人狂」
「聞こえてるよ、江孤。……んーと。一人、50人くらい?」
「はいよ」
それだけ言うと、私達は二手に別れて、敵の忍を倒していく。
……しかし、いつまで経っても敵の数が減らなかった。
それどころか、どんどん数が増えていってる気がする。
ザクッ!!
「……っ!!」
少しよそ見をしていたら、横からクナイを持った敵が飛び出してくる。
その攻撃を避けられず、腕を切りつけられた。
早く片付けないと、ヤバいかも。……アレ使うか。
私は江孤に陰話で話しかけた。
「〈江狐! 今から新術使うから絶対、桜を見ないでね!!〉」
「〈わかった!〉」
私の言葉を聞いた江孤が、分身の術を使いその場から離れる。
行った? よし、これで使える。
まだ人に使ったことないから分かんないけど、多分、無差別なんだよね……。
私は新術の印を組んだ。
「……血桜。花の舞!!」
辺りに桜の花びらが舞い始める。
敵の忍達が次々に、その桜に釘付けになっていく。
パンッ
その音がした瞬間。辺りに舞っていた桜が千切れてバラバラになった。
「?」
……クスッ。そろそろかな?
「バイバイ」
私がそう呟くと同時に、敵の忍達も桜と同じ状態に変わった……。
「……江狐、大丈夫?」
一応、江孤の生存を確認すると、彼の声が後ろから聞こえてきた。
「……ああ。すごいな、今の術。なんて名前だ?」
「血桜だよ」
周りをを見渡すと、千切れた肉片が大量にあった。
「……んじゃ、帰るか」
「うん。早く帰って寝るんだぁ♪」
「ホント、そればっかだな」
「だって、眠いんだもん」
* * *
雨隠れの里を出て、しばらく進んでから、私は江狐に呼び止められた。
「……!」
「うん? なに?」
「ちょっと腕見せろ。さっきから腕庇ってるだろ。怪我したんじゃねぇの?」
「……な、なんのこと?」
「下手な嘘は良いから、腕出せ」
「……はい」
私は諦めて江狐に腕を見せた。
「……うわっ。パックリ切れてんじゃん。……たくっ。玩具に怪我させられんなよ」
……全くもって、その通りで言い返せない。
「あんま、無茶すんなよ」
「はい。すいません」
治療が終了したあと、私はさっきから溜まっていた愚痴を、江狐に吐くことにした。
「……なんでバレたんだろ」
「オレってば観察力いいから」
「うざっ! 表になんな!」
「うざって……。、荒れてんなぁ」
「玩具如きに怪我したのがムカつく。それ以上に、江孤にすぐバレたのがムカつく」
「はぁ? 心配……」
江孤の言葉を遮る。
「心配したの?」
「当たり前だろ」
「……ふぅん」
ニヤニヤと笑いながら、江孤を見る。
「……なんだよ! ってか、これくらい蒼鹿だって気づくと思うぞ?」
「…へぇ。そうなんだ」
……結構、嬉しいかも。
たまには、こんな怪我も悪くないかもと思いながら、私達は里まで帰って行った。
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