1話



数日後。すでに私はアカデミーに慣れていた。

そして、毎日ナルトを弄るのが楽しみになっていた。

今日はもなにして遊ぼうか。

今日も今日とて、そんなことを考えながら歩いていたら、目の前に慌てながら走ってくるナルトを見つけた。



獲物を見つけた獣みたいに、目がキラッと光る。



江孤みっけ♪



「ナルト、おはよう!」

「あっ! おはようってばよ!! ……ってかゆっくりしてて良いのか? 遅刻するぞ?

(……かよ。コイツ、よく分かんねぇんだよな。それに……)」



ナルトが表と裏で器用に違うことを考えている。私はそれに気づかず、ナルトに話しかける。



「いいの、いいの。朝から走るもんじゃないよ? ……それより、ナルト」

「なに?」

「大好き」

「!?(……はぁ。言うと思った。毎回、飽きずによくやるよ……)」



表のナルトと違い、裏の方は予想してたのか驚かない。

それどころか、毎回やるに呆れていた。



……クスッ。今回は、これで終わりじゃないんだよ。江孤君?



そう心の中で呟くと、次の瞬間、未だに赤い顔をしているナルトに抱きついた。



ぎゅっ



「うわっ!! !?(は? ……えっ!?)」



さすがに素で驚くナルト。さっきより顔が赤くなっていた。



カシャッ



シャッター音が聞こえる。

そしての方を見てみると、カメラを持った彼女が笑顔でこちらを見ていた。



「……さん?(……! ……あーー。うん……)」



私はというとポカンと、こちらを見るナルトの反応に面白くて爆笑していた。



「アハハハハハッ!! ヤバいその顔好き!!」

「…………」

「……はあ。面白かったぁ!! さて、この写真どうしようかな?」



ひとしきり笑ったあと、私は落ち着いて、この写真をどうするか考え始めた。

じーちゃんに見せに行く? ……いや、私がだとバレる。

けど、じーちゃんにも見せたいな。うーん……あっ。



一つの名案を思い付き、ポツリと呟く。



「……里中にばら撒く?」

「……マジで止めろ。……?」



今まで黙っていたナルトが口を開く。

雰囲気が変わった。それは私がよく知る彼の雰囲気。……それに今、なんて言った?



「……ナルト? 私、って名前じゃないよ? ってか、誰?」

「(……まだ言うか)もう正体気づいてんだよ。いい加減諦めろよ」



……やっぱダメ? はぁ、つまんないの。



「……って言わないで欲しいな。……江孤君」

「お前の諦め悪いからだろ。それに江孤君って言うな」

「はいはい。それじゃあ、ナルト君はいつ、私がだって気づいてたのかなぁ?」

「(……怖いから……)……気付いたのはさっき。けど、最初から違和感あったぞ?」

「……ちっ。気付くなよ」

「無茶言うな」

「ねぇ、蒼鹿にもバレてる?」

「多分、気づいてないんじゃね?(……オレが気付いたのだって、偶然だしな)」

「……んじゃ、蒼鹿でいいや」

「は? なにが?」

「秘密♪」

「えっ」

「蒼鹿が可哀相とか思うなら、自分のせいだ思ってね? 江狐が気付いたのが悪い」

「はぁ!? なんでだよ!!」

「なんとなく?」

「…………(なんとなくでオレのせいかよ。……あとで蒼鹿に言っとこ)」

「そうそう、間違って蒼鹿に言っちゃダメだよ? もし言ったら……コレね?」



ゾクッ……



が自分の首を切る真似をする。

顔は笑っているのに、目は笑ってなく、ナルトはそれが恐かった。



「……あっ…ああ(許せ、蒼鹿。オレは自分の命が惜しいわ。 ……だから、せめて早くコイツの正体に気付け!)」



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