1話
1話*
「結局リドルさんってなんなんですか?」
「僕?」
「内緒って言ってたから気になっちゃって。ゴーストに分類して良いんですか?」
「しちゃ不味いかな。いや、不味いって言うよりされたくないが正しいけど」
「うん?」
「僕はある人の記憶≠セよ」
「へぇ、その人凄いですね! 有名な人なんですか?」
「ん――……まぁ、有名……かな?」
歯切れが悪そうに苦笑しながら言うリドルさんに首を傾げたが、すぐに新たな疑問が湧いた。
「……媒体ってなんなんだろう?」
この空き部屋に有るものっていえば机……なわけないか。有る無しに関わらず出来るのかな?
そんなことを考えながらふとリドルさんを見ると意地悪そうな笑みを浮かべていた。
「? どうしたんですか?」
「僕の媒体は君の着けてるピアスだよ」
「ピアス?」
「赤い石」
リドルさんがまるでヒントのようにポツリと呟いた。
「赤い石?」
赤い石、赤い石とブツブツ呪文の如く言い続けある記憶を思い出す。
「あ。……お守り!!」
「そう、それ」
嬉しそうに……いや、愉しそうにクスクス笑っているリドルさん。
「でも実際にはお守りとかけ離れた物かな? ノクターン横丁で売ってた呪いグッツだから」
「呪い!?」
なんて場所でなんて物を選んでくれちゃってんだ……。
「まさか娘へのプレゼントだとは思わなかったけど」
「見てたんなら止めてくれ!」
「無理。その時は魔力貯まってなかったからこうやって出て来れなかったし。
あーそうそう、君の魔力貰ってるから、ついでに、そのピアス外そうとしても、一度着けたら一生外れないから」
「…………」
危険物をお守りと称して娘に渡さないでください。
いや、本当に……。
「残念だったねー」
なにが可笑しいのかまた笑い出すリドルさん。
ジト目でその光景を見てると、ふと最初の方にあった違和感がすっかり消えた。
「リドルさんは――……」
「さん、も敬語も要らないよ」
「リドルはどれが本物?」
一瞬、は?って顔されたけど私の言いたいことが分かってくれたみたいで、じぃと私のことを見た後フッと笑った。
「お嬢さんなら解ってるでしょう?」
「……さて、私にはなんのことやら?」
少しおどけてみたら、馬鹿じゃない?って少し呆れたような視線を投げられた。
嘘つきなお兄さんは、どれが本当か解りづらい。
(まぁ、でも恐いリドルは断固反対!)
(……それはさ、が僕を怒らせなかったら良いんじゃない?)
(あ)
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諦めの早い夢主さん。
2014.01.09