5話
5話
つ、疲れた……レポートもだけど、帰って来た四人にも。
みんながみんな我が道を突き進んでるような……それが普通なの?
割りと私の身近に大人が多かったからなぁ、とぶつぶつ呟きながら自分の部屋のドアを開けた。
「おかえり」
「ただいま〜……って、は?」
つい反射的に返事をしちゃったが、私一人部屋。えっ誰ですか。
声の主を捜すとそれは意外にあっさり見つかった。
うん、リドルっていうね。
彼はベッドに腰掛けなにやら真剣に本を読んでいた。
その本そんなに面白いの?……って。
「今日はよく遭遇するね」
昨日までは存在すら知らなかったのに。
「君が誘ったんだよ?」
反応あったー!地味に嬉しかったり?私の方を一切見ないから、少しだけどうしようって。
「すぐに来てくれると思わなかったよ」
「女の子からの誘いだからね。無下には出来ないかな」
「そういうものなの?」
「……」
反応なくなっちゃった。早いな、おーい、会話しよ?
人として大事だよ?……リドルを人に分類して良いのかな?
本読んでるリドルをジーッと静かに見つめながらそう考えていると、はぁ、という溜め息と、パタンと本を閉じる音が聞こえてきた。
「、そんなとこに突っ立ってないで早くおいでよ」
「いいの?」
「いいの……って君のベッドなんだから当たり前でしょ?」
困ったように笑って、自分が座っている横を軽く叩く彼に嬉しくなってつい、ダイブした。
「布団最高、幸せ」
掛け布団を抱えてゴロゴロ満喫中に呆れたようなリドルと目が合った。
「……君さぁ、色んな意味で残念な子だよね」
キョトンとリドルを見ると溜め息。え、なぜ?
「恥じらいが足りないよ、。一応、女子でしょ?」
「一応じゃなくても女子だよ!」
「はいはい。……それより、なんで早く一人部屋って言わないの?」
「あ」
「……その様子じゃ忘れてたみたいだね」
「ひっ」
薄く微笑むリドルの姿に背筋がゾクッとした。
あの視線に勝てる気がしないし、そんな上級テクニック持ってないからね?
なので早々に白旗を上げた。
「ご、ごめんなさい!!」
誠意を込めればリドルだって許してくれるよね?許してくれなかったらどうしよう?
頭を下げながら、密かに悩んでいると何故か頭上からクスクス笑う声。
不思議に思って顔を上げると、リドルが可笑しそうに笑っていた。
「知ってたよ」
「?」
「が一人部屋だって知ってよ。時間なくて言わなかったけど、僕はピアスから外の光景が見えるんだよね」
「は、えっ、じゃあなんで……」
笑う?
「必死になって謝ってる姿が滑稽だなって」
「…………」
口元に弧を描いて笑うリドル。
容姿端麗で頭脳明晰、これで性格も良かったら完璧だったのにね。
「って犬みたいだよね」
「はーい、可愛い小型犬希望!」
「は? 捨て犬に決まってるから」
「……真顔って……」
←・→
*
ながっ、やっと完成。
2014.02.08