こども以上おとな未満
「ちょっとフィルチさんをからかってくるね!」
「寒い中よくやるね……外、雪降ってるのに」
呆れとある意味の尊敬を浮かべて彼女を見れば逆にキョトン顔。
その視線に何故だか嫌な予感した。
「へっ? リドルも行くんだよ?」
「いや、行かないから」
嫌な予感的中。
間髪入れずに断ると不満そうな顔された。
「リドル知ってる? 子供は元気に悪戯しないといけないんだって」
「はぁ?」
僕が子供?
僕より解りやすいのがホグワーツには沢山いると思うんだけど……それより。
「子供だから悪戯するって意味が解らないし、解りたくないし、それ、当たり前じゃないから」
「嘘だ〜」
「君の脳内がね」
誰だよ、にふざけたこと教えた人。面倒だから止めてくれない?
「……はぁ。僕の存在が秘密なの解ってる? 特にダンブルドアに」
「まぁ、バレたらバレたで」
「行け。二度と帰ってくんな」
のフードをがしっと掴み、ドアの向こうにポイッと放り投げた。ギャッて聞こえた気がするけど、静かにドアを閉める。
外が煩いけど、まぁ聞こえなかった振りして鍵をかけた。
まぁ物音がしなくなったら、一応開けてあげたけど。
*
あれから数時間経ったが帰って来ない。帰ってくる気配すらない。
別に心配とかじゃなくて、彼女の杖がないと紅茶が飲めないから。
「全く、どこで駆け巡っているのやら」
寒い。マグル式で淹れようなんて考えは遥か昔に消したので、そろそろ本当に帰って来て欲しい。
「……休暇に入ったらダイアゴン横丁に連れて行こう。このままじゃなにも出来ない」
「なに、ブツブツ言ってるの?」
「あ」
寒さを紛らわせる為に休暇の計画を立てていると、いつの間に帰ってきたのか僕の顔を覗き込んでるがいた。
「おかえり、杖」
「え、杖だけ!?」
「嘘だよ。おかえり、」
「へへ、ただいま」
走ったのかの息は少し上がっていて、普段より頬が赤くなっていた。
「悪戯上手くいった?」
「悪戯はね。逃げるのに苦労したかな? フィルチさん中々、鬼気迫ってて撒くのに大変だった」
あれは怖かった、とケラケラ笑っている彼女。
「ふーん? まぁいいや。、杖貸して?」
「うん? どーぞ」
から杖を受け取り、一振りするとティーセットがキッチンの方からやってくる。
紅茶を一杯飲むのにこんな時間掛かると思わなかった。
「……リドル、紅茶飲みたかったの?」
「ん」
「さっきから?」
「まぁ?」
「自分で淹れれば良かったのに。リドルも苦手なことあるんだね!安心したよ」
「は?」
なにを勘違いしてるのやら。
すぐに違うと反論しても良かったが君があまりにも嬉しそうに笑うからなんだか意地悪したくなって、あとで教えようと思っていた忠告をするのを止めた。
、僕からの贈り物を喜んでね?
罰則という名の贈り物を。
*
後日トロフィー磨きを半泣きでやってる彼女の横で僕は笑いながら見物していた。
「フィルチが爆発するのも時間の問題だから悪戯するのを控えた方が良いかもよ?」
「言うのが遅いよ!」
*
…あれ?
2014.02.16