嫌い過ぎ大好きだっ
*嫌い過ぎて大好きだっ*
嫌い嫌い嫌い、大っ嫌い!!
なんなのアイツ!?
いつも飄々としているアイツ。
それが気に食わない。
「僕、お前が嫌い〜」
「私もですから安心して下さい?」
お前が傷付いて顔が歪むのが見たかったのに……。
「もう行っても宜しいでしょうか?」
「…………」
お前はそう言うと、本当ににこの場から去って行った。
*
「紅覇さまぁ」
女が甘い声を出しながら、僕に擦り寄ってくる。
「これだよ、これ〜」
「何がですかぁ?」
擦り寄っている女が不思議そうに僕を見ていたが。
「なんでもないよぉ」
そう言ってにっこり微笑んだ。
やっぱり女はこうじゃないとね〜……だけど。
*
「……絡んでくるの止めて頂けませんか?」
朝。お前を見付けて話し掛けたら、とても迷惑そうな顔。
他の奴なら、僕が話し掛けたら喜ぶのになんで!?
「……なんで……」
「?」
「なんでお前は僕に媚びないし、甘えないんだよ!!」
「他の女達と一緒にしないでくれませんか?」
「他の女達じゃ物足りないんだよっ!!」
なんでお前は僕に冷たいの!?
「……言っておきますけど、私じゃなくて紅覇様が冷たくなったんですよ? ……まぁ、私の名前?」
「はぁ? でしょぉ?」
「よく出来ましたっ」
そう言い、ぽんぽんと僕の頭を撫でる。
その表情は柔らかく笑っていた。
「え、えっ? 笑って……」
「私だって笑いますよ」
笑ってるとこ久しぶりに見たと呟くと。
クスッ、と笑って。
「別に紅覇様のこと嫌いじゃないんですよ? ……ただ」
名前を呼んで下さらないから。
そう言ったは、少し恥ずかしそう笑ってた。
「……えっ、そんなことで!?」
*
なんでが嫌いなのか分かったかも。
他の奴には名前を呼んだり、笑顔を見せたりするのに
僕にはそれをしないから。
そう思ってたのに……。
*
嫌いだよ? お前のこと。
嫌い過ぎて大好きだっ。
*
口調って難しい…。
2012.11.14