お菓子をちょうだい?





「ねぇ〜!」

「はい?」





「お菓子をちょうだい?」





は? この方は何を言っているんでしょう?



私が仕えている紅覇様は女の子みたいに可愛い。

普段は我儘で子供っぽいのに、たまに見せる格好よさ。

……うん。

そんな紅覇様が好きなんだけど、貴方は私を困らせるのがお好きなようで。



「紅覇様?」



意味が分からず聞き返すと、分からないの? と、私を見てきて少し苛々した感じでもう一度。



「だからぁ、お菓子をちょうだい! 無いなら悪戯。まぁ、僕的には悪戯の方が良いけどね?」

「……何故?」

「だって今日はハロウィンでしょ? お前、知らないの?」



ああ、そんなイベントありましたね。でも、確か……。



「それって昨日じゃ?」

「えっ!」



紅覇様の顔から笑みが消え、シュンと落ち込んでしまった。

ぶつぶつと「アイツ殺す」という、物騒な言葉が聞こえてきた。

誰がハロウィンのことを教えたか知らないがご愁傷様。



「クス」

「……? 何を笑っているのぉ?」

「あはははははっ」

「殺すよ?」

「ふふ、失礼しました!」



ブス、としていて不機嫌な紅覇様。

そんな姿ですら可愛らしい。そう思う私は可笑しいかもしれない。



「紅覇様?」

「何?」

「私、お菓子を持ってないんです。だから――……」

「!」



一瞬驚いた表情をしていたが、すぐフッと笑って下さった。





甘い、甘い悪戯を下さいな?





* * *



初マギ。

難しい、こんなはずじゃ?

どうでもいい主張。

紅覇くんに悪戯されるなら!←