if-希望が消えた日-
if-希望が消えた日-
走って。
走って。
走って。
どうか間に合って欲しいと願いを込めて。
何度か誰かにぶつかりそうになったり、転びそうになりながら目的の場所にたどり着く。
「あ」
その場に沢山の人が喜び抱き締めあっていた。
そんな光景を軽く流してある一点に向けてゆっくり歩き出す。
「……こんな大事な時になに寝てるんですか?」
横たわる我が君に呆れたように声を掛けた。
「さっさと起きて下さい。もう世界制服は諦めて屋敷に帰りませんか?」
我が君の横にしゃがみ苦笑した。
「当たらない占いで良いならいくらでもしてあげますから。変わりに我が君の読書を妨害くらい許して下さいね。まぁ許可なんて今更。
そうだ、今年は顔面に雪だま投げてもいいですか? 一々、死の呪文ぶっ放ってこないで下さいよ?あれ、普通に恐いんで。
……そうだなぁ、他にも楽しいことしましょ?……ねぇ、だから早く……」
声が段々掠れていく。
泣きたくなる気持ちを必死に我慢した。
「……我が君…………ん……リド、ルさん……」
懐かしい名前。あの時は嘘って言ったけど、半分は本当だって知っていましたよ。我が君がこの名前が嫌いなのも
「リドルさん、リドルさん、リドルさん、リドルさん……っ!」
返事してくれるまで何度も、何度でも言い続けますから。
だから、早く「止めろ、」って怒って下さいよ。
「…………っ」
ピクリとも動かない我が君。
恐る恐る頬に手を伸ばすと、認めたくなかった事実がそこにはあった。
その瞬間プツリ、と糸が切れたみたいに我慢してた涙がぽろぽろと我が君の顔の上に零れ落ちていった。
「……嘘つき。もう置いてかないって言ったじゃないですか……っ!!」
*
何度も夢に見る光景。
我が君が居なくなったあの日の。
「どうせなら私も連れてってくださいよ……」
小さく息を吐いて、苦笑した。
頬を伝う涙をそのままに。
今もあなたを想って。
ああ、ホント。
我が君は意地悪だ。
*
2014.01.29